心臓ペースメーカーを入れたら生活はどう変わる? 循環器専門医が詳しく解説|御茶ノ水駅|おおた循環器内科エコークリニック|循環器内科・内科

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心臓ペースメーカーを入れたら生活はどう変わる? 循環器専門医が詳しく解説

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2026年8月13日

心臓ペースメーカーを入れたら生活はどう変わる? 循環器専門医が詳しく解説

みなさん、こんにちは。院長の太田光彦です。

これまでお話をしてきた不整脈は、特別な病気ではなく誰でも起こりうるものです。

2025年、歌手の美川憲一さんが洞不全症候群の治療でペースメーカーの植込み手術をしたというニュースがありましたね。

日本では、毎年約3万5千人以上の方が心臓ペースメーカーの植込み手術を受けています。総患者数は約30万~40万人と推定されるため、みなさんの周りにもペースメーカーを使用している人がいるかもしれません。

今回は、ペースメーカーを植え込んだ際の生活についてお話をします。

本記事の概要

心臓ペースメーカーを植え込むことになり、「これまで通り生活できるのだろうか」と不安を感じていませんか。ペースメーカーを装着しても、多くの方は仕事や旅行、軽い運動などを続けることができます。一方で、電気製品や磁気の影響、車の運転など注意すべき点もあります。この記事では、ペースメーカーが必要となる状態や手術後の生活、利用できる制度について、循環器専門医が分かりやすく解説します。

心臓ペースメーカーが必要になる状態とは 

心臓ペースメーカーは、何らかの原因で脈が遅くなり過ぎたときに電気刺激を発生させ、心臓を規則正しく動かすサポートをします。失神や心不全のリスクを軽減することを目的とした医療機器で、脈が極端に遅くなる徐脈性不整脈(洞不全症候群や房室ブロックなど)の治療に用いられます。

体の中に機械を入れても大丈夫? 故障はしない?

ペースメーカーの植込みと聞くと、「普通の生活ができなくなるのでは?」と考える方は少なくありません。しかし、生活上の注意点はあるものの、いつ失神するか分からない状態より安全ですし、「ペースメーカーを入れて楽になった」と話す患者さんは多いです。

また、故障については、注意事項を守っていれば大きな心配はいりません。ただし、いつもと違う感覚があったり、ペースメーカーに強い衝撃が加わったり、強い電磁波の影響を受けたりした場合は、異常がないか確認するために受診が必要です。

ペースメーカーの手術後は、定期検査が必要

ペースメーカーは一度植え込めば終わりではなく、問題なく動作しているかを定期的に確認することが大切です。電池の消耗度や動作状況について、3~6カ月に1回の定期検査を行います。近年は、遠隔モニタリングシステムが普及し、自宅にいながら病院にペースメーカーの情報を送信できるので、通院せずに遠隔診療を受けることも可能になりました。

心臓ペースメーカーを入れた後の日常生活はどう変わる?

ペースメーカーは外部からの電気や磁力の影響を受けることがありますので、一部制限はありますが、手術前とほぼ変わらない生活を送ることができます。

ただし、手術後1~2カ月はペースメーカーのリード線が安定しないため、その間は植込んだ側の腕を激しく動かしたり、重いものを持ったりするのは控えましょう。

自動車の運転は急ブレーキに要注意

ペースメーカーの埋め込み後に失神したことがある人や、医師から運転禁止の指導を受けた人は、自動車の運転はできません。しかし、それ以外は原則として許可されています。急ブレーキをかけたときにシートベルトによる圧迫で、ペースメーカーに強い力がかかる可能性があるので、安全運転を心がけましょう。

また、以下のケースにおいても注意が必要です。

  • ・スマートキーを使用する際は、アンテナから22cm以上離す、ドアの開閉を必要以上に行わない。
  • ・電気自動車の充電中のスタンドやケーブルに近づかない。

※植込み型除細動器(ICD)の手術後は一定期間運転制限があります。

強い電磁波のある電化製品は、適切な距離を保つ

使用時間や頻度によって異なるものもあるため、不安なことがあれば医師に相談をしてください。

影響を及ぼす可能性があるもの
→なるべく近づかない
マッサージチェア、体脂肪計、電気風呂、万引き防止用ゲート(付近で立ち止まらない)、素手で持つタイプの電動工具(電気ドリルやのこぎりなど)、アマチュア無線、全自動麻雀卓
適切な距離を保てば使用できるもの
→一定の距離を保つ
スマートフォン(胸ポケットに入れない)、無線通信機器(Wi-Fi・Bluetoothなど)、ICカード読み取り機、自動車のスマートキー、ハイブリッド車(急速充電器の周辺には極力近づかない)、IH調理器、IH炊飯器、ロボット掃除機
影響がないもの テレビ、ラジオ、パソコン、オーディオ機器、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、食洗機、電子レンジ、空気清浄機、補聴器、血圧計、体温計、ヘアドライヤー、電動シェーバー

仕事復帰は可能。復帰時期や仕事内容は要相談

ペースメーカーを装着後に仕事復帰している方は多くいます。ただし、もともとの心臓の病気の重症度によって活動量の制限があります。体を激しく動かす肉体労働や強い電磁波の影響を受ける職場環境は避けたほうがいいでしょう。仕事内容や、就労時間の目安などは医師・職場と相談する必要があります。特に、運転が必要な仕事は慎重に判断します。

軽い運動は再開できることが多い

手術後1~3カ月経過して体調が回復すれば、ウォーキングや軽いジョギング、ゴルフなどはできるようになります。体が激しく接触するコンタクトスポーツや、上半身に負荷がかかる筋トレなどは避けましょう。個人差がありますので、医師の指示に従ってください。

お風呂やサウナは基本的に可能、ただし電気風呂は利用できません

お風呂やサウナはペースメーカーに影響はありません。ただし、熱いお風呂に長時間入るのは、心臓に負担がかかるため、ぬるめのお湯(38~40度)で20分程度にとどめておくといいでしょう。

温泉施設などにある電気風呂はペースメーカーに影響を与えるため利用できません。

旅行には「心臓ペースメーカー手帳」を携帯すること

体調が安定していれば旅行を楽しむことができます。電車、飛行機、船など乗り物に制限はありません。旅先で何かトラブルがあったときのために、「心臓ペースメーカー手帳」を持っていきましょう。外国語でも情報が記載されているので、海外旅行でも役立ちます。

ちなみに、飛行機に乗ることは問題ないのですが、空港保安検査でペースメーカーが金属探知機に反応したり、影響を受けたりする場合があります。空港の係員に事前に伝えておくと安心です。

安心・安全にペースメーカーを使うために

ペースメーカーの植込みに際して、利用できる制度があります。安心・安全な生活をサポートするものなので、漏れなく手続きをしましょう。分からないことがあれば、病院の窓口などでご相談ください。

「心臓ペースメーカー手帳」の管理・携帯

ペースメーカーの植込み手術後、「心臓ペースメーカー手帳」が渡されます。手術を受けた病院やペースメーカーの治療情報、ペースメーカー本体装置の設定、電池やリードの状況などが記載されています。通院記録として使うほか、他の病院・診療科を受診する際にも役立ちます。また、ペースメーカーを使用していることが英語やフランス語など数か国語で記載されているので、旅行時にも携帯しましょう。

身体障害者手帳の交付申請

身体障害者手帳の交付を受けることで、医療費助成や税制上の優遇、公共交通機関の割引などを受けられる場合があります。自治体により内容が異なりますので、お住まいの地域の福祉事務所に問い合わせを。

製品情報を登録する「特定医療機器登録制度(医療機器トラッキング制度)」

厚生労働省主導のもとに設けられた制度で、万が一ペースメーカーに不具合やリコールが発生した場合に、速やかに患者さんへ連絡できるよう設けられた制度です。事故を未然に防止し、緊急時の医療対応をスムーズに行うことを目的としています。

登録には患者さまの個人情報が必要になるため、登録するかどうかは患者さまの意思で決めることができます。

医療費負担を軽減する「高額療養費制度」

同じ医療機関や薬局の窓口で、1か月の医療費が自己負担限度額を超えた場合、その超えた分が払い戻される制度です。事前に申請することで一時的な負担額を減らせます。

ペースメーカーと上手につき合いながら、自分らしい生活を送りましょう

ペースメーカーを植え込むと、「今まで通り生活できるだろうか」と不安になる方は少なくありません。しかし、日常生活でいくつかの注意点を守り、定期検査を受けていれば、多くの方は仕事や旅行、運動などを楽しみながらこれまでと変わらない生活を送ることができます。

大切なのは、不安や疑問を一人で抱え込まないことです。生活の中で気になることや困ったことがあれば自己判断せず、医師へ相談してください。ペースメーカーは病気によって制限されるためのものではなく、安心して毎日を過ごすための治療の一つです。不安なことがあればお気軽にご相談ください。

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よくある質問

Q1. ペースメーカーを入れても、普段通りの生活は送れますか?

A.はい。手術後しばらくは腕の動きなどに制限がありますが、多くの方は仕事や買い物、旅行など普段に近い生活を送ることができます。ただし、電磁波や強い磁気の影響を受ける機器には注意が必要です。生活上の注意点を守りながら、定期検査を継続しましょう。

Q2. ペースメーカーを入れた後は車を運転できますか?

A.多くの場合、自家用車の運転は可能です。ただし、失神したことがある方や、医師から運転を控えるよう指示されている場合は運転できません。また、業務で車を運転する場合は法令上の基準が異なることがありますので、医師へ相談してください。

Q3. スマートフォンや電子レンジは使えますか?

A.はい。スマートフォンや電子レンジなど多くの家電製品は通常どおり使用できます。ただし、スマートフォンは植込み部から15cm以上離して使用し、胸ポケットに入れることは避けましょう。不安がある機器については主治医へ相談すると安心です。

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