2026年9月08日

みなさん、こんにちは。院長の太田光彦です。
お盆を過ぎても暑い日が続きますね。夏の疲れが出やすい時期でもありますので、「以前より疲れやすくなった」と感じている方は、無理をせず体調の変化に目を向けてみましょう。
前回の記事では、心不全がどのようなものなのか、どんな症状や原因があるのかについてお伝えしました。今回は、心不全の種類や悪化を防ぐために知っておきたいポイント、受診を急いだほうがよい症状についてお伝えします。
本記事の概要
心不全には、急激に症状が悪化する「急性心不全」と、心臓の機能低下が続く「慢性心不全」があります。急性心不全と慢性心不全を繰り返すことで心臓へのダメージが積み重なり、心不全が進行します。そのため、横になると苦しい、息切れやむくみが強くなったなどの体調変化がある場合は、早めに循環器内科へ相談しましょう。緊急性の高い症状と受診の目安についても解説します。
心不全は「急性心不全」と「慢性心不全」の2つに分類されます

心不全には、症状の経過によって「急性心不全」と「慢性心不全」の2種類があります。
急性心不全は心臓のはたらきが急激に悪くなる状態で、慢性心不全は心臓の機能低下が長期にわたって続いている状態です。
| 項目 | 急性心不全 | 慢性心不全 |
|---|---|---|
| 症状の現れ方 | 突然、急激に悪化する。 | 長期間にわたり徐々に進行する。 |
| 主な症状 | 激しい息切れ、呼吸困難、喘鳴(呼吸をする際にゼーゼー、ヒューヒューと音がする)、冷汗、意識障害。 | 動いた時の息切れ、むくみ、体重増加、疲れやすさ、動悸。 |
| 治療・対応 | 酸素投与、点滴、血管拡張薬や利尿薬による迅速な治療。入院が必要。 | 薬物療法や生活管理(塩分・水分制限、適度な運動)を行う。 |
| 発症の引き金 | 急性心筋梗塞、不整脈、血圧の急上昇など。 | 慢性心不全の急な悪化(風邪・肺炎などの感染症、過労、塩分・水分の摂りすぎ)。 |
急に症状が悪化し、ひどい息切れが起こる「急性心不全」
過度なストレスや急性心筋梗塞などにより、全身に血液を送り出す心臓のポンプ機能が著しく低下し、激しい息切れや呼吸困難などの症状が表れる緊急性の高い状態です。特に、「横になることができないほど息苦しい」「突然強い呼吸困難が起こった」という場合はためらわずに119番に電話して救急車を呼びましょう。急性心不全は命にかかわるため、早急な対応が必要です。
・治療
基本的に入院が必要となります。酸素投与を実施し、血管を広げる薬や余分な水分を尿として出す利尿薬の点滴などを行います。
心臓の機能が弱まった状態が長期間続く「慢性心不全」
心臓のポンプ機能の低下が常態化して、全身に十分な血液を送れなくなった状態です。治療で症状が落ち着いても、再発や悪化を防ぐために継続的な治療・経過観察が欠かせません。
また、風邪・肺炎などの感染症にかかったり、薬を中断したりすることをきっかけに悪化し、急性心不全を引き起こすこともあります。
・治療
薬物療法に加えて、減塩などの食事管理や無理のない運動を組み合わせ、症状と進行をコントロールして生活の質(QOL)を守ることを目指します。治すというより「悪化を防ぎながら長く付き合う」ことが目的になります。
心不全が「治らない病気」と言われるのはどうして?

心不全は、心臓のはたらきが衰えた「結果」として起こるものです。ダメージが積み重なると、心臓の筋肉が硬くなったり大きくなったりして、血液をうまく送り出せなくなってしまいます。心臓の筋肉は、一度失われると新しい細胞に生まれ変わる能力がほとんどないため、治療で症状が改善しても、根本原因には対処できないのです。
それゆえ、衰えた心臓の機能を、薬やペースメーカーなどでサポートし続ける必要があります。
進行ステージは4段階。「急性心不全」と「慢性心不全」を繰り返すことで悪化する
出典:心臓のSOS
【心不全による他臓器への悪影響】
心不全の進行には、ステージAからDまでの4段階があります。急性心不全を引き起こすと、血液の逆流を防ぐ弁や心臓の筋肉がダメージを受け、全身に十分な血液を届けられなくなります。それを繰り返すことで心臓のはたらきが減衰するだけでなく、ほかの臓器にも影響が出るようになります。
- ・腎臓:老廃物が体に溜まりやすくなる、むくみ
- ・肺:肺に血液や水分が溜まり、息切れや強い呼吸困難が起きる
- ・胃腸:血流悪化により、食欲不振、吐き気、お腹の張りが起きる
- ・脳:充分な酸素が届かず、倦怠感、集中力低下、めまいが起きる
急性心不全を防ぐことが、進行を抑えるカギ
心不全の治療で最も重要なのは、薬をきちんと服用し、減塩などの生活習慣を守り、急性心不全を起こさないよう管理することです。
急性心不全になると命にかかわりますし、入院や退院後の活動制限が発生します。仕事や家庭生活にも影響する可能性があります。そのため、適切な治療でできるだけ進行を遅らせて、今まで通りの生活を維持するようにします。
息切れ、むくみなどの症状があれば循環器内科へ

心不全は早い段階で発見し、適切な治療を受けることで、日常生活が大きく変わることを防げます。特に、息切れやむくみなどが見られる場合は、ひとりで抱え込まず一度循環器内科で相談してみましょう。
今すぐ受診が必要な症状
- ・突然、強い息苦しさがある
- ・横になっていられないほど苦しい
- ・意識がぼんやりする、失神する
- ・冷や汗を伴う強い胸痛がある
早めに循環器内科へ相談したい症状
- ・息切れ、動悸がある
- ・夜中に咳が出たり、寝ているときや横になると息苦しく、座っているほうが息が楽になる
- ・1週間で2kg以上の急激な体重増加がある
- ・手足がむくむ、またはむくみがひどくなった
- ・手足が冷たく、疲れやすさ、だるさを感じる
- ・夜中にトイレに起きることが多い、またはその回数が増えた
御茶ノ水駅から徒歩2分。不安を感じたときにすぐ検査を受けられます

おおた循環器内科エコークリニックは、駅から徒歩2分のアクセスしやすい場所にあり、土曜・祝日も診療しています。当日に検査結果がわかる体制を整えていますので、不安な気持ちで検査結果を待つこともありません。
心不全の症状は徐々に現れるため、「少し息切れするだけ」「最近疲れやすいだけ」と思っているうちに、心臓への負担が大きくなっていることもあります。時間をつくって一度検査を受けることが、仕事や日常生活を続けていくことにつながります。気になる症状がある方は、どんなことでもご相談ください。
息切れがおさまらないのは心不全のサイン? 原因や症状を循環器内科医が解説
よくある質問
Q1.心不全にはどんな種類がありますか?
A.心不全は、症状の経過から大きく「急性心不全」と「慢性心不全」に分けられます。急性心不全は短期間で症状が悪化する状態で、激しい息切れや呼吸困難などが起こります。慢性心不全は心臓の機能低下が続く状態で、悪化を防ぐために継続的な治療や経過観察が必要です。
Q2.横になると苦しくなるのは心不全の症状ですか?
A.心不全では、横になると息苦しくなり、起き上がると楽になる「起座(きざ)呼吸」がみられることがあります。肺に血液や水分がたまることが原因の一つです。特に以前はなかった息苦しさが続く場合は、自己判断せず循環器内科へ相談しましょう。
Q3.心不全は治らない病気ですか?
A.心不全は、原因となる心臓の病気などによって心臓の機能が低下した結果として起こるため、症状が改善しても継続的な治療が必要です。薬物療法や生活習慣の見直しなどを欠かさず、悪化や再発を防ぐことが重要です。