2026年6月02日

みなさん、こんにちは。院長の太田光彦です。
5月17日は、「世界高血圧デー」でした。日本でも「高血圧の日」と定められています。
高血圧(140/90mmHg以上)は心臓の病気を引き起こす原因のひとつで、今回お話をする不整脈にも関わってきます。
本記事の概要
不整脈とは、心臓の電気信号の乱れにより心臓のリズムが乱れる状態の総称です。疲労やストレスによる一時的なものもありますが、なかには脳梗塞や心不全、突然死につながるケースもあります。本記事では、不整脈が起こる原因や注意したい症状、予防のポイント、受診目安について循環器専門医がわかりやすく解説します。
不整脈とはどんな状態?
不整脈とは、心臓のリズムが乱れる状態の総称です。心臓の脈が「速くなる」「遅くなる」「乱れる」状態を指し、治療が必要かどうかを判断するには医療機関で検査を受ける必要があります。
不整脈が発生するメカニズム
心臓の電気信号を伝える刺激伝導系に異常が生じることで不整脈は起こります。心臓の中では微弱な電気信号が一定のリズムで流れていて、その刺激によって心臓が規則正しく動いています。この電気信号は、右心房にある「洞結節(どうけっせつ)」という場所でつくられ、「房室結節(ぼうしつけっせつ)」を通って心臓全体に伝わります。
洞結節や房室結節の働きに異常が起こると、電気信号がうまくつくられなかったり、正常に伝わらなくなったりして、不整脈になります。

不整脈が進行するとどうなるの?
不整脈のなかには治療が必要なものもあり、進行すると心臓がうまく血液を送り出せなくなることで、めまいや失神、息切れなどの症状が起こります。悪化すると、心不全や脳梗塞を引き起こしたり、突然死につながったりするケースもあります。
一方で、疲労やストレスなどによる一時的な不整脈は、経過観察で問題ないこともあります。ただし、症状が続く場合や、動悸・失神・胸痛などを伴う場合は、病気が隠れているケースもあるため循環器内科を受診しましょう。
不整脈は3つに大別されます
不整脈は、脈が「速くなる」「遅くなる」「飛ぶ・乱れる」の大きく3つに分けられます。種類によって症状や必要な治療は異なります。

頻脈性不整脈
脈が速くなるタイプの不整脈です。動悸や息切れ、めまいなどの症状があらわれ、種類によっては脳梗塞や突然死につながることもあります。
・心拍数:1分間に100回以上
・主な原因:異常な電気信号、心臓の病気、加齢、ストレスなど
・状態:脈が速くなり、心臓が十分に血液を送り出せなくなる
・主な症状:動悸、息切れ、胸痛、めまい
・治療法:薬物療法、カテーテルアブレーションなど
徐脈性不整脈
脈が遅くなるタイプの不整脈です。心臓から全身へ送られる血液が不足し、めまいや失神が起こることがあります。
・心拍数:1分間に50回以下
・主な原因:加齢、洞結節や房室結節の異常、薬の影響など
・状態:脈が遅くなり、血流が低下する
・主な症状:めまい、立ちくらみ、倦怠感、失神
・治療法:経過観察、ペースメーカー治療など
期外収縮
脈が飛ぶ、乱れるように感じる不整脈です。健康な人にもみられることが多く、一時的な疲労やストレスで起こることもあります。30歳以上になると多くの人にみられるといわれています。
・心拍数:正常範囲内のことが多い
・主な原因:疲労、ストレス、睡眠不足、カフェイン、アルコールなど
・状態:脈が飛ぶ、不規則になる
・主な症状:胸の違和感、脈が抜ける感じ、動悸
・治療法:経過観察、原因となる生活習慣の改善など
心臓のどの部分で異常が起きているかによりタイプが異なります。細かい種類や治療法については、次回に説明を行います。
不整脈の原因は何がある? 加齢とともに高まるリスク因子

不整脈の主な原因は加齢で、60歳を超えると不整脈が増えるといわれています。年齢を重ねると、心臓のリズムを整える電気信号の機能が低下するためです。他にも複数の要素がかかわっています。
生活習慣病:高血圧、糖尿病など
高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病は、心臓や血管に負担をかけ、不整脈のリスクを高めます。
特に高血圧が続くと、心臓は強い力で血液を送り出さなければならず、心臓の筋肉が厚くなったり、負担がかかったりします。その結果、心臓の電気信号が乱れやすくなり、不整脈につながることがあります。
狭心症や心臓弁膜症などの病気
狭心症や心筋梗塞、心臓弁膜症などの心疾患があると、心臓の筋肉や血流に負担がかかり、不整脈が起こりやすくなることがあります。
甲状腺機能亢進症(こうしんしょう)
甲状腺機能が亢進すると、心臓の筋肉が過大に収縮したり、心房細動などの不整脈で脈拍が速くなることがあります。甲状腺機能亢進症が原因で心不全を起こすこともあります。
生活習慣の乱れ:カフェイン・アルコールの過剰摂取、睡眠不足、ストレスなど
生活習慣の乱れは、自律神経のバランスを崩し、不整脈を引き起こす原因になります。
・カフェインの過剰摂取
コーヒーやお茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインを過剰に摂取すると、心拍数が増えて不整脈につながることがあります。健康な成人では、1日400mg程度までが目安とされています。コーヒーなら3杯程度です。
・アルコールの過剰摂取
アルコールは心臓や血管に負担をかけ、不整脈の原因になることがあります。厚生労働省では、生活習慣病のリスクを高める飲酒量(1日あたりの平均純アルコール摂取量)を、成人女性で純アルコール20g以上、成人男性で40g以上としています。500mlのビールなら、女性は1本程度、男性は2本程度が目安です。
・睡眠不足、過労、ストレス
睡眠不足や強いストレスが続くと、自律神経が乱れ、脈が速くなったり不規則になったりすることがあります。
・睡眠時無呼吸症候群(SAS)
睡眠中に何度も呼吸が止まる病気です。酸欠状態になることで心臓に負担がかかり、不整脈を引き起こしやすくなります。
遺伝が関係する不整脈
不整脈は60歳以上から増加する病気ですが、若年層(40歳未満)でも起こる場合があります。その多くは、遺伝性によるものです。
・ブルガダ症候群:睡眠中や安静時に突然重い不整脈が起こり、失神や突然死につながることがある病気です。男性に多いことが知られています。
・先天性QT延長症候群:生まれつき心電図の波形に異常があり、運動や強いストレスをきっかけに失神や危険な不整脈を起こすことがあります。小児期(0歳~14歳)から若年層に多くみられます。
家族歴がある方や、若い頃から失神を繰り返している方は、循環器内科の受診をご検討ください。
不整脈を予防するために

加齢による不整脈を防ぐことは難しいですが、生活習慣を見直すことで、不整脈のリスクを下げることは可能です。
- ・栄養バランスのよい食事
- ・適度な運動
- ・体重管理
- ・禁煙
完璧を目指そうとするより、まずは続けることが大切です。
こんなときは循環器内科へ
脈の乱れや動悸、めまい、ふらつきなどが続く場合は、「疲れ」や「年齢のせい」と自己判断せず、循環器内科を受診しましょう。不整脈のなかには、心不全や脳梗塞につながるものもあるため、早期発見・治療が大切です。
当クリニックは土曜・祝日にも診療しており、当日予約も可能です。気がかりなことがあればご相談ください。
動悸や脈の乱れが気になる方は検脈を
身体に不安があるときは、日頃から脈をチェックする習慣をつけることも早期発見につながります。脈拍数や脈のリズム、その日の体調を記録しておくと、異常に気づきやすくなります。
【脈の測り方】
1.片側の手のひらを上に向ける。
2.手首を少し曲げ、手首にしわができることを確認。
3.しわの位置に反対側の手の薬指がくるように、人差し指、中指、薬指の3本をあてる。親指のつけ根の骨の内側で、脈がよく触れるところを見つけること。
4.15秒ほど脈拍に触れ、脈拍数や間隔が規則的かどうかを確かめる。(4倍にすると1分間の脈拍数になる)

よくある質問
Q1.不整脈は自然に治ることもありますか?
疲労やストレス、睡眠不足などが原因の一時的な不整脈は、休養や生活習慣の改善で落ち着くことがあります。ただし、症状が繰り返す場合や、動悸・失神・胸痛を伴う場合は、循環器内科の受診が必要です。
Q2. 不整脈の原因にはどんなものがありますか?
加齢のほか、高血圧や糖尿病などの生活習慣病、狭心症や心筋梗塞などの心疾患、睡眠不足やストレス、カフェイン・アルコールの過剰摂取などが原因になります。なかには遺伝が関係する不整脈もあります。
Q3. どんな症状があれば受診した方がよいですか?
脈の乱れや動悸が続く、脈が極端に速い・遅い、めまいやふらつき、失神、胸の痛み、息切れなどがある場合は受診をおすすめします。特に失神や強い胸痛、呼吸困難を伴う場合は、早めの受診が必要です。
