2026年4月06日

みなさん、こんにちは。院長の太田光彦です。
この時期は、お花見や歓迎会などで忙しく過ごす方も多いのではないでしょうか。寒暖差や生活リズムの変化を受けやすい時季なので、ご自身の体調と相談しながら日々を過ごしましょう。
さて、今回は狭心症の検査についてお話をします。
本記事の概要
胸の違和感や息苦しさは、心臓の病気のサインである可能性があります。なかでも狭心症は、症状が出ているときにしか異常が現れにくく、心電図検査では見つかりにくいことがあります。本記事では、狭心症が疑われる際に行う検査の種類や特徴、心臓ドックの役割について解説します。受診ポイントを理解することで、病気の早期発見、健やかな生活維持につながります。
胸痛・息苦しさがあるときに考えられる病気

胸が重い、締めつけを感じるといった症状があるとき、「そのうち治るだろう」と様子を見てしまう方は少なくありません。しかし、こうした症状には心臓の病気が隠れていることもあります。
代表的なのが「狭心症」です。狭心症は、心臓に血液を送る冠動脈の血流が一時的に不足し、心筋が酸素不足になることで起こります。
症状の出方はさまざまで、
- ✓ 階段や坂道で胸が苦しくなる
- ✓ 安静時に突然胸が重くなる
- ✓ 朝方や夜間に違和感が出る
など、「いつ・どんなときに起こるか」によって特徴が異なります。一時的に治まることも多いため見過ごされがちですが、放置すると心筋梗塞へ進行する可能性もあります。
健康診断の心電図検査では病気が見つからない?
胸の違和感があるのに、健康診断では「異常なし」と言われて不安を感じたことはありませんか。検査結果が「異常なし」でも、病気のリスクがゼロとは限りません。
一般的な健康診断での心電図検査は、不整脈や心肥大などを見つけるうえで有効な検査です。一方で、安静にしている状態で測定するため、狭心症のように症状が出ているときだけ異常が現れる病気は見つかりにくいのです。加えて、狭心症はタイプによって症状の出方が異なり、基本的な検査では異常を確認できないケースもあります。
つまり、「異常なし」という結果は、“その時点では問題が見つからなかった”という意味に過ぎません。胸の違和感が続く場合は、健康診断の結果にかかわらず、循環器内科で専門的な検査を受けることが大切です。
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狭心症が疑われるときに行う検査とは

ひとつの検査だけで判断するのではなく、症状の内容や起こるタイミングをもとに、適切な検査を選びながら、総合的に診断していきます。
ここでは、代表的な検査についてご紹介します。
心臓の規則正しい動きを確認する「心電図検査」
心臓の電気的な活動を記録し、心筋の状態を確認する検査です。
症状によっては、運動時の変化を見る「運動負荷心電図検査」、「運動負荷心エコー検査」、24時間心電図を計測する「ホルター心電図検査」を行うこともあります。
・所要時間:安静時心電図約5分、運動負荷心電図検査20〜30分、運動負荷心エコー検査約40分、ホルター心電図約24時間
心臓の状態を確認する「心エコー検査(心臓超音波)」
エコー(超音波)を使い、心筋の動きや弁の状態などをリアルタイムで確認する検査です。放射線を使わないので、妊娠中の方でも安心して検査が受けられます。
・所要時間:20〜30分
運動中の心臓の状態を確認する「運動負荷心エコー検査」
自転車のペダルをこいで運動していただきながら、心エコーと心電図を同時に記録する検査です。
安静時の心エコーでは分かりにくい、運動中の心筋の動きや弁の働き、血流の状態をリアルタイムで確認することができます。狭心症は「体を動かしたときに症状が出る」ケースも多いため、実際の状態に近い条件で評価できる点が大きな特長です。診断精度も高く、狭心症の検査として有用とされています。
当院は全国でも数少ない運動負荷心エコー検査が可能なクリニックであり、症状の原因をより的確に見極める体制を整えています。放射線を使用しないため、体への負担が少ない検査です。
・所要時間:30〜40分
血管の状態を画像で確認する「冠動脈CT検査」
CTを使って心臓の血管(冠動脈)を撮影し、狭くなっている部分がないかを確認します。
・所要時間:約1時間
・注意点:造影剤を用います。重度の腎機能障害やヨードアレルギー、気管支喘息、妊娠中の方は受けられません。
心臓・血管を精密に調べる「心臓カテーテル検査」
手首や足の付け根から細い管を入れ、冠動脈に直接造影剤を流して詳しく調べる検査です。
・所要時間:1時間(+安静数時間)。終了後の止血・安静に約4~6時間かかるため、全体的な滞在時間は長くなります。原則1~2泊の検査入院が必要です。
・注意点:造影剤を用います。重度の腎機能障害やヨードアレルギー、気管支喘息、妊娠中の方は受けられません。
症状がなくても備えられる「心臓ドック」という選択肢

心臓ドックは、気になる症状がない段階でも、心臓や血管の状態をまとめて確認できる検診です。
複数の検査を組み合わせて行うことで、動脈硬化の進み具合や病気のリスクを早い段階で把握でき、受診者数は年々増加しています。心臓病の発症リスクが上昇する50歳以上を中心に利用されています。
心臓ドックを受けたほうがよい方
将来的な心臓病のリスクが気になる方や、生活習慣に不安がある方は症状がなくても一度詳しく調べておくと安心です。
- ・50歳以上の方
- ・心筋梗塞や狭心症を発症した家族がいる方
- ・喫煙習慣がある方
- ・高血圧、糖尿病、脂質異常症(高脂血症)などの生活習慣病がある方
- ・体重増加や運動不足が気になる方、BMI 25以上の方(※)
※日本肥満学会では、BMI(体格指数)25以上を肥満と定義しています。
BMI値:体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
心臓ドックは原則として保険適用外(全額自己負担)です。ただし、加入している健康保険組合によっては補助金を受けられるケースがあります。事前に確認をしておくといいですね。
気になる症状がある方へ 受診前のポイント

受診前に少しだけ準備をしておくと、診察や検査がよりスムーズになり、原因を特定しやすくなります。
・症状を整理する
「いつ」「どんなときに」「どのくらい続くか」を簡単にメモしておきましょう。診断の手がかりになります。
・家族歴を確認する
ご家族に心臓病を経験された方がいる場合、病気のなりやすさを判断する手がかりになります。
・健康診断の結果を持参する
直近の診断結果があれば、比較することで変化の有無が分かります。
不安を感じたときこそ、相談のタイミング
狭心症は、症状が出たり治まったりを繰り返す病気なので、自己判断だけで様子を見るのはおすすめできません。検査をして異常がないケースもありますが、「問題なし」と確認できること自体が安心につながります。
当クリニックでは、症状や不安の内容に応じて必要な検査を行い、状態に合わせた診療をご案内しています。より高度な検査・治療が必要なときには、連携する医療機関をご紹介させていただきます。
気になる症状があるときは、一人で抱え込まず、まずはご相談ください。
よくある質問(FAQ)
Q1.狭心症の検査にはどのようなものがありますか?
A.狭心症の診断では、症状の出方やタイミングに応じて複数の検査を組み合わせて行います。代表的な検査には、心電図検査、心エコー検査、冠動脈CT検査、心臓カテーテル検査などがあります。また、運動時の変化を見る運動負荷心電図や、日常生活の中で計測するホルター心電図が行われることもあります。これらは症状や状況をもとに医師が判断して実施されます。
Q2.健康診断で異常なしでも安心して大丈夫ですか?
A.健康診断で「異常なし」と判定されても、必ずしも病気がないとは限りません。一般的な心電図検査は安静時に行われるため、狭心症のように症状が出ているときだけ異常が現れる病気は見つけにくい場合があります。すべての病気を網羅できるわけではありません。胸の違和感や息苦しさなどの症状がある場合は、健康診断の結果にかかわらず、循環器内科で専門的な検査を受けることが大切です。
Q3.心臓ドックと健康診断の違いは何ですか?
A.健康診断は、全身の健康状態を広く確認するための基本的な検査です。一方、心臓ドックは心臓や血管に特化し、より詳しく調べるための検査です。心臓ドックでは心エコー検査や冠動脈CT検査などを組み合わせ、動脈硬化や血管の狭窄(きょうさく)リスクまで評価します。そのため、症状がない段階でもリスクを早期に把握したい方や、健康診断では分からない部分まで詳しく調べたい方に適しています。
Q4.なぜ狭心症の検査で運動負荷心エコー検査が選ばれることがあるのですか?
A.狭心症は、安静時には異常が見つからず、体を動かしたときにだけ血流不足が起こることがあります。運動負荷心エコー検査では、運動中の心筋の動きや血流の変化をリアルタイムで確認できるため、こうした“見逃されやすい異常”を捉えやすいのが特長です。そのため、他の検査で原因がはっきりしない場合にも選択されることがあります。東京都内でも受けられる病院は限られていますが、当院(御茶ノ水 おおた循環器内科エコークリニック)では受検可能です。
