2026年2月11日

みなさん、こんにちは。院長の太田光彦です。
寒さが厳しくなる12月から2月は、ヒートショックや心筋梗塞のリスクが高まるといわれています。この時期は寒暖差や乾燥、日照時間の短さから体調を崩す方が増える傾向です。普段以上に注意して、健康管理を行いましょう。
これまで3回にわたり心筋梗塞についてご説明してきました。
胸の苦しさや息切れを感じると、「もしかして心筋梗塞の前兆かも?」と不安になる一方で、いつ受診すべきか迷うこともあるでしょう。今回は、この点についてお話しします。
本記事の概要
胸痛や息苦しさを感じたとき、「様子を見るべきか」「病院に行くべきか」と判断に迷う方は少なくありません。本記事では、心筋梗塞など命に関わる病気の可能性を踏まえ、救急車を呼ぶ目安や外来受診の判断基準、循環器内科を受診すべき理由を解説します。痛みを我慢するリスクや、早期受診が命と生活を守る重要性についても紹介します。
胸の痛み、息苦しさ。何科を受診すればいい?

胸に違和感があるときは、まず循環器内科の受診をおすすめします。
「疲れているだけかも」「ストレスかな」と気にかけない方もいますが、胸の圧迫感や鋭い痛み、呼吸が乱れるなどの症状は、心臓の病気のサインかもしれません。
救急車を呼ぶ目安
以下の症状があるときは、迷わず119番で救急車を呼びましょう。
- ・安静時に激しい胸の痛みが15分以上続く
- ・胸の痛みが徐々に強くなる
- ・冷や汗・嘔吐を伴う胸の痛み
- ・突然の息切れ
命に関わる病気が疑われるため、夜間に起こったとしても朝まで様子を見るのは危険です。特に急性心筋梗塞の場合、発症後すぐに治療を受けられるかどうかで、命の危険度が大きく変わります。実際に、発症した方のうち約4割は病院に到着する前に亡くなるともいわれています(早い段階で病院に到着すると救命されます)。
もし「救急車は大げさかも……」と気になるのであれば、タクシーで夜間診療を行っている病院へ行きましょう。
外来受診の目安
以下の症状があるときは、早めに循環器内科の受診をご検討ください。
- ・階段や坂道を上ると息切れする
- ・倦怠感が続く(運動後だけでなく安静時にも疲れが取れない)
- ・胸の圧迫感や重苦しい痛み(キュッと締め付けられる感じ)
- ・胸やけ(みぞおちから喉にかけてのヒリヒリ感)
注意が必要なのは、「安静時に落ち着く痛み」です。安静時は運動時に比べて血流負荷が減るため、血管が狭くなっていても症状に気づきにくいのです。そのため、「休めば楽になるから大丈夫」と判断する人が多いのですが、根本原因は解決していません。
また、動脈硬化によって心筋のダメージが進むと、痛みの感じ方が鈍くなり、症状に気づきにくくなることもあります。安静時に落ち着いたからといって「問題ない」とは言い切れないのです。
受診して病気が見つかった際は早期に治療を開始できますし、医師の診断で異常がなかったときに「命にかかわる状態ではない」と分かる点は、大きなメリットです。
急な体調変化に備えて、今できること
自宅周辺の循環器内科について調べておくと、いざというときに役立ちます。
心筋梗塞は突然発症することが多く、いつ・どんな状況で起こるかわかりません。胸の痛みがある状態で病院を探すのは難しいでしょう。
そして、事前の情報収集は自分自身だけでなく、家族の体調不良に備えることにもつながります。特に50代以降の方または50代以上の家族がいる場合は、今のうちに調べておくと安心です。
動悸や息切れがするとき、なぜ循環器内科を受診するの?

緊急性の高い心臓の病気が考えられるため、心臓や血管を専門とする「循環器内科」を優先して受診することが重要です。
なかには心臓以外の病気が隠れているケースもありますが、まずは心臓に異常がないかを確認します。心エコー検査(心臓超音波検査)などで、心不全や不整脈の有無を詳しく検査できます。
検査でわかること
・心エコー検査(心臓超音波検査)
超音波を使って心臓の動きをリアルタイムで観察する検査。弁の状態や血液の流れを詳しく調べることができる。放射線を使わないため、妊娠中の方でも安心。
・運動負荷心エコー検査
安静時の心エコー検査では診断できない、運動時にだけ見える異常を調べる検査。固定式の自転車(エルゴメーター)をこぎながら、心電図、血圧、心臓の壁運動も同時に確認する。
痛みを我慢すると健康リスクが高まる?
痛みを我慢し続けると、当たり前の日常が急に失われるリスクがあります。
これまで当クリニックへ来院した方の中には、歩行時の胸の苦しみ・息苦しさを1週間以上我慢した方や、息切れで通勤路を歩けない状態が数日続いた方がいました。それぞれ来院時には狭心症の発作、心筋梗塞を発症した後でした。
我慢して失われるもの
身体の違和感を無視したり、痛みを我慢したりすると、病気の重症化や合併症を起こしやすくなります。一度壊死した心筋は再生しません。もし胸の痛みや息苦しさを我慢している間に心筋が壊死すると、不整脈や心不全を起こすリスクが高くなります。また、家族団らんや仕事・趣味の時間など、これまで当たり前だった日常が、突然できなくなることがあります。
なお、前述の方々はカテーテル治療ができる医療機関を紹介して回復傾向にあります。しかし、早い段階で受診をしていたら、心筋の壊死は防げたかもしれません。
自己判断せず、専門家の診断を

不調や違和感は、身体から発せられる危険信号です。「痛みが収まったから大丈夫」「年齢のせいかもしれない」と自己判断をしてしまうと、取返しのつかないことになることもあります。
心臓の病気は、症状の強さと重症度が一致しないことも少なくありません。一時的に症状が治まったとしても、原因が解決していなければ、再び強い発作を起こす可能性があります。
専門医による診察・検査を受けることで、「今すぐ治療が必要なのか」「経過をみてよいのか」がはっきりします。何もなければ安心につながりますし、万が一病気が見つかっても、早期治療によって命や日常生活を守ることができます。
お茶の水駅から徒歩2分。身近で頼れる医療を目指しています
当クリニックは、動悸や胸の圧迫感など気になる症状が現れた際に、早めに受診いただける体制を整えています。土曜・祝日の診療、当日予約にも対応しています。
紹介状は必要ありません。もし少しでも不安を感じたとき、気軽に相談できる身近な医療機関としてご利用ください。

FAQ
Q1.胸の痛みや息苦しさがあるときは、何科を受診すればいい?
A.胸の痛みや息苦しさがある場合は、まず循環器内科を受診しましょう。心筋梗塞や狭心症、不整脈など、緊急性の高い心臓の病気が隠れている可能性があります。心臓に異常がないかを優先して確認することが大切です。
Q2.動悸や胸の違和感があるとき、受診のタイミングはいつ?
A.安静にしても胸の痛みが続く、息切れが急に強くなった、冷や汗や吐き気を伴う場合は、すぐに救急車を呼びましょう。一方、運動時の息切れや胸の圧迫感が繰り返し起こる場合も、早めの外来受診が必要です。「そのうち治る」と様子を見るのは危険です。
Q3.胸の痛みや違和感を我慢するのはよくない?
A.痛みを我慢することで、心筋の壊死や心不全、不整脈などの重い後遺症につながることがあります。心臓の病気は、症状が一時的に治まっても安心できません。早めに専門医の診察を受けることで、命や日常生活を守ることができます。